「 Ballad of Lyrics / 村山 浩 」
村山 浩(p), 安ヵ川大樹(b), Philippe Soirat(ds)
「至芸、受け継ぐピアノ。切り拓く新たなる伝統。」
驚くべき明快で澄んだ音色、正確な音の組み合わせ・配置配列、 そしてレパートリーの選択における趣味の良さ。 大いなるキャリアを約束されていると確信している。
DMCD-02 税抜2381円+税
試聴音源
1 . Ballad of Lyrics ≪ For Lilika ≫ ( Hiroshi Murayama ) ♪
2 . BeBop ( Dizzy.Gillespie )♪
3 . Come Rain or Come Shine (Harold.Arlen ,Johnny.Mercer)♪
4 . Coming from the Seine (Hiroshi Murayama)♪
5 . Freemason (Hiroshi Murayama)♪
6 . The Look of Love (Burt.Bacharach ,Hal.David)♪
7 . My Funny Valentine (Richard.Rodgers , Lorenz.Hart)♪
8 . The Deep Valley (Daiki Yasukagawa )♪
9 . New Change Up (Hiroshi Murayama)♪
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Member Profile
村山 浩(p)
1970年 東京都出身。慶応義塾大学卒業。
1995年 横浜ジャズプロムナード・コンペティションにて最優秀賞受賞。
プロとして活動開始、多くの実力派ミュージシャンのサイドマンをつとめつつ、
1996年よりルーツ音楽院ピアノ科講師、また2003年より洗足学園音楽大学ジャズ科非常勤講師として後進の指導にも当たる。
2005年 フランス・パリに移住し、パリ及び欧州各地で演奏、現地の多くのミュージシャンと共演し、各地ジャズフェスティヴァル(Enghien les-bains Jazz Festival 2006、 Versailles Jazz Festivals 2006,2007等)、日仏文化交流の舞台にて演奏を行う。
2006年 第一回 KINOTAYO映画祭 、2007年 こいのぼり・世界の子供の日(日本文化センター・Espace HATTORI 主催/在仏日本国大使館後援)、同年 ‘Keita Maruyama’ 08SS パリコレクションでの演奏も絶賛を持って迎えられ、2008年 Jean-michel Couchet (saxophones) との日本ツアーも成功を収める。
トラディッショナルからフリーにいたるあらゆるフォーマットで、常に自己の表現を貫くそのスタイルは、パリにおいても好評である。さらに緻密に構築されつつ、メロディアスなオリジナル曲も高い評価を得ている。
自己のトリオの活動とともに、日仏のミュージシャンの幅広い交流にも精力的に参加している。
http://www.myspace.com/hiroshimurayama
安ヵ川 大樹(b)
1967年 兵庫県出身。
幼少時からピアノを学び、明治大学でビッグバンドに入部したのを機にベースに転向。
1991年 プロ活動を開始。以後国内外を問わず数多くのセッションに参加し、現在まで参加したアルバムは優に100枚を超え、数々の名盤名演を世に送り出している。
2008年 D-musica設立、同レーベル代表。
2009年より昭和音楽大学 ジャズ科 非常勤講師に就任。
リーダー作として2002年完全ベースソロによる「Let My Tears Sing」、同年トリオ、YA 3による「Loco」、2004年安ヵ川大樹トリオによる「Kakeroma」(以上East Wokrs)、また2007年には自身が主催するラージコンボによる「Far East Jazz Ensemble」(Skip Record)がある。
全世界を舞台に活躍する、日本を代表するベーシストである。
http://daikiyasukagawa.com/
Philippe Soirat(ds)
1961年 南フランス、モントン出身。
1986年 パリへ。
以降 欧州を代表するドラマーとして多くの欧米のミュージシャン(Barney Wilen, Ricky Ford, Lee Konitz, Yannick Rieu, Lionel et Stephane Belmondo, Lou Donaldson, Dee Dee Bridgewater, Ray Brown, Laurent de Wilde, Johnny Griffin, Mark Turner, Phil Woods , Steve Grossman等)のサイドマンとして活動。
下記は膨大な参加作のごく一部である。
1995年 Barney Wilen(ts) / Passione (Venus Records)
1999年 Laurent Fickelson(p) / Under the Sixth (Seventh Records)
/ Secret Mood (Seventh Records)
Belmondo Brothers / Infinity (Shai)
2000年 Belmondo Brothers / Belmondo Quintet (Plana Prod)
2004年 Gordon Beck(p) / Not the Last Waltz (Art of Life)
2006年 Cedric Caillaud(b) / June 26 (Aphrodite-Records)
2008年 Alain JeanMarie(p) / Alain la parole(DVD) (Vaugi production)
安定感、正確性、インスピレーション豊かなプレイは音楽性に満ち溢れ、それでいて表現過多にならない”良質なワインの様に熟成された”ドラムプレイはリスナー、共演者から絶賛されている。
http://www.myspace.com/philippesoirat
パリレコーディング、そして トリオ。 村山 浩
このレコーディングは昨年の夏、安ヵ川さんのほんのわずかのパリ滞在に合わせ企画されたものだった。実際、安ヵ川さんとドラマーのフィリップ・ソアラは全く面識がなく、当然共演経験もない。しかも限られた時間内でのレコーディングということもあり、ややリスキーな選択だったかもしれない。
しかし、僕にはこの二人とやるトリオのイメージはすでに頭の中にあり、それはかなりポジティブなものであった。むしろこの二人には、僕は共通する音楽性を感じていたので、たとえ二人がぶっつけでスタジオで初共演したとしても、何の不安もなかった。 レコーディング前日、パリ郊外のフィリップの家のスタジオで、曲の構成を確認する程度のリハーサルをおこなったが、この時点ですでに、二人はあたかも旧知の仲間のように、一つの有機体としてスムーズに機能していた。そしてその晩(とはいっても、夏のこの季節は22時頃まで日は沈まない)、近くのレストランで、フィリップの奥さんを交え四人で食事をするころには、すっかりリラックスしてうちとけていた。フィリップがごちそうしてくれた赤ワインをいただきながら、レコーディング前日、とてもよいひと時を過ごした。
レコーディング当日、7月20日は、くしくも2005年のこの日に僕自身が渡仏した日でもあり、記憶に残る日となった。
パリ18区にあるSysmo Records Studioは、欧米の多くの偉大なミュージシャン(ChetBaker, MaxRoach, SlamStewart, ArchieShepp, EddieHenderson, DanielHumair, HenriTexier, StephaneGrappelli, AldoRomano, MichelGrailler etc..)がレコーディングしている、決して大きくはないが、とてもアコースティックな由緒あるスタジオである。僕がこのスタジオを選んだ決め手になったのは、尊敬するピアニスト、アラン・ジャン・マリーの「Sysmoはいいよ。」の一言だった。
レコーディングはブースにはいっさい入らず、フィリップが小さいヘッドフォンを使用した以外は、僕と安ヵ川さんはヘッドフォンすら付けずにおこなわれた。
結果的に、音楽はとてもシンプルなものであった。全曲を通じ、三人が同質の、同数の四分音符を共有し、ちりばめられた互いのソングを感じつつ、自然と同じ方向を向いていく。これこそが、過去の偉大なピアノトリオミュージックに敬意をもちながら、僕ら三人のパーソナリティを表現するという、僕の目指していたものそのものでもあった。
音楽に関しての多くはディスクを聴いていただくことに委ねたいが、例えば一曲目の’Ballad of Lyrics (for Lilika)’のピアノソロのバッキングにみられる、フィリップのブラシの細かいニュアンスの変化、そしてそれを支える安ヵ川さんのビートの的確な選択、この自然で絶妙なバランス感覚こそ、ぼくが二人に感じていた共通点かもしれない。彼らのそんなプレイがあってこそ、僕のプレイに生命が与えられているのは、言うまでもないことである。
そして忘れてはいけないのは、生の音をピュアな状態で録音してくれたSysmo RecordsのDominiqueSamarcqと CharlesEddi。そして僕の細かい要望にすべて応え、最終的に僕の望む’ジャズの音’に仕上げてくれたミックスとマスタリングを担当したAlbanSautour。このトリオのコミュニュケーションをディスクに残すことができたのは、彼ら三人のエンジニアのおかげである。ありがとう。
そしてなによりも、フィリップ・ソアラと安ヵ川大樹という、全てを可能にしてくれるミュージシャンと新しいスタートをきれたことに満足するとともに、今後このトリオがフランス、日本という国境を越えて、どのように発展していくか、僕は大いに期待している。ありがとう、フィリップ、安さん。
村山 浩
エンジニア
Alban Sautour・・・Pierrick Pedron(as) / Classical Face、Frank Woest(p) / Mind At Play、Nicola Sabato(p) / Lined With A Groove、Baptiste Trotignon(p) / Sightseeing等日本でも人気の高い作品を手がける注目のエンジニア。クリアで聴き応えのある音作りには定評がある。
ライナーノーツ
シャンピニー・シュー・マンヌ にて
2008年9月22日 私が、村山 浩のジャムセッションで演奏するのを耳にしたのは、一年前、私自身が演奏していた晩、パリのデュック・デ・ロンバにおいてであった。 私は、彼のジャズピアノへのとても ”クラシック”なアプローチに興味を抱いた。 “クラシック”という言葉で言いたいのは、エレガントに、美しいハーモニーとともにスイングする、ジャズの伝統においてのそれである。 最近、彼は私に、安カ川大樹(Bs)、フィリップ・ソアラ(Ds)とともに、パリで録音した音源を聴かせてくれた。 そこで私は、このピアニストの数ある長所を十分に認めることができた。 驚くべき明快で澄んだ音色、正確な音の組み合わせ・配置配列、そしてレパートリーの選択における趣味の良さ。 そのレパートリーについて、村山 浩の諸作品のリズムとハーモニーの豊かさに、 私は関心をもった。 ?”Ballad Of Lyrics (For Lilika)”は、メロディのセンス、叙情性、感受性とともに、ビル・エバンスの洗練を思い出させる。とても美しいバラードである。 非常に早いテンポで演奏されている、ディジー・ガレスピーの”BeBop”にも同様に私は驚かされた。”古典美”に加えて、彼のビ・バップへの理解を認めることができる。”Freemason”においては、浩はこの入り組んだコード進行のうえで、とてもスムーズである。バート・バカラックの歌曲、”The Look Of Love”はとても独創的であり、4分の7拍子のアレンジがなされている。この変拍子のうえで、流れるようでいるのは容易ではないが、浩はそこでも全くリラックスしなめらかだ。 “New Change Up”は私たちに、このピアニストの作曲における才能の別な面を示している。 ここでは、神秘的な雰囲気が放たれていて、やはり彼が豊富な創造力を持っているということができる。 私は、ゆえに、この録音を聴き、たいへん満足した。 そして村山 浩がジャズピアニストとして、大いなるキャリアを約束されていると確信している。 彼はすでに素晴らしいジャズマンであるが、私は彼を祝福しつつ、彼がふさわしい承認を手にすることを願う。 ジャズ・ピアニスト アラン・ジャン・マリー
Design
北川正 (Kitagawa Design Office)
フランスJazzMagazine/JazzMan誌CDレビュー