「 The Single Petal of a Rose 」
Duke Ellington Song Book (Wataru Hamasaki & Mayuko Katakura DUO)
浜崎航 Tenor and Soprano Sax 片倉真由子 Piano
Wataru Hamasaki Plays WOODSTONE tenor saxophone exclusively.
「 このアルバムに収録した”Come Sunday”に込めた祈りが天に通じますように。 浜崎航 片倉真由子 」
DMCD-19 税抜2381円+税
試聴音源
1 .Warm Valley ♪
2. Portrait of Louis Armstrong♪
3. Low Key Lightly♪
4. Take the A Train♪
5. Come Sunday♪
6. Jump for Joy♪
7. The Star-crossed Lovers♪
8. The Feeling of Jazz♪
9. The Single Petal of a Rose♪
All Songs Composed by Duke Ellington and Billy Strayhorn
2011 11/27 Recorded at Victor Sound Village, Yamanakako Studio
購入サイト
このデュオは2009年4月、東京下町小岩の小さなライブハウスから始まりました。二人共、他のメンバーとの出演はありましたが、このデュオ、私が是非続けて欲しいなぁ~と思っていたところ「デュークエリントンソングブック」という形で実現し、大変嬉しく思っています。
それ以降 都内は勿論、日本全国をツアーし皆さんにあたたかく迎えていただき、今回このようなアルバムもリリース出来ました!
日本を代表するテナーマンとピアニストの心温まるプレイを何度も一緒に共有し二人の世界に引き込まれようじゃ~ありませんか!
Jazz Club COCHI 店主 宮崎隆信
ここにあるのは、サックスとピアノのリラックスした会話だ。しかも、楽器を歌わせまくっている。浜崎君はジャズ、僕はクラシックとジャンルこそ違え、同じサックス吹きとしてジェラシーを禁じえない。この楽器が本来、こんな風に人をアディクトするものだったことを強力に思い出させてくれたのだ!
雲井雅人(日本を代表するクラシックサックス奏者)
ライナーノーツ
1899年に生まれたデュークエリントンはその生涯を作曲、演奏活動に捧げました。本名はエドワードケネディエリントン。デュークというのはニックネームで、いつも優雅なきちんとした身なりをしていたから。かつてのジャズミュージシャンはタキシードを着こなしとてもおしゃれで憧れの的であったのです。詳しい経歴はここでは割愛致しますが、アメリカの音楽の象徴であり、ジャズを作り上げて来た、否、彼そのものがジャズである、そういう偉大な音楽家なのです。
私と片倉真由子は偉大なデュークエリントンの音楽を研究し、その素晴らしさ、感動を自分たちなりに表現したいと考え、この”DukeEllingtonSongBook”を立ち上げ、切磋琢磨して来ました。そして私達の活動は沢山のジャズファンの方々やジャズクラブに支えられて、地道に成果をあげてきました。このプロジェクトは間違いなく私と片倉のライフワークになると思っております。
2011年、日本を襲った大地震によって未曾有の被害が出ました。我々も被災地を訪れ、その被害の甚大さに愕然としました。特に仙台で生まれ育った片倉の受けたショックは大きく、私も復興を応援する決意を新たにしました。
このアルバムに収録した”Come Sunday”に込めた祈りが天に通じますように。
1964年新潟地震の際、偶然にも来日していたエリントンは、地震の被害を知り、日本公演の次の予定のハワイ公演をキャンセルして、東京で震災に対する募金を募るコンサートを行い、収益金全額を寄付しています。
なんとも心温まる話ではありませんか。
浜崎航
Warm Valley
このアルバムは心温まるこの曲から。日常の散らかった感情を優しく音楽の世界に誘ってくれる、そんな雄大さを持った曲です。私達はライブのときもこの曲を一番最初に演奏することが多いのですが、自然に、ゆったりと、音楽の中に自分たちが溶けて行き、音楽の神様に抱かれる感覚を与えてくれる。タイトルもまさに偉大なる母性を暗喩しているのでしょう。片倉真由子の雄大なピアノイントロをお楽しみください。(浜崎航)
Portrait of Louis Armstrong
エリントンによる”New Orleans Suite”からの一曲。ルイアームストロング、その生涯を通してジャズに息吹を与え続け、今なお進化し続けるジャズミュージックのすべての側面に影響を与え続けている、ジャズの父ともいえる存在、へのオマージュである。ルイアームストロングの生き方こそが、まるでジャズの歴史そのものであるかのようだ。いつも陽気に笑い、歌い、演奏し続けたルイ。エリントンが捧げたこの曲も躍動感にあふれ、そう遠くない昔にニューオーリンズで生まれたジャズという素晴らしい音楽へ敬意を表しているかのごとく、喜びに満ちている。(片倉真由子)
Low Key Lightly
エリントンが映画”Anatomy of Murder”の為に作曲した曲で、あまりに美しいバラード。なんとその映画にはエリントン本人がピアニスト役で出演しています。白黒映画でストーリーも単純ですが、俳優さんの演技力や撮り方などが凄いのでしょう、CG真っ盛りの現代の映画よりもぐっと迫ってくるものがあります。映画も音楽はもちろん人類のテクノロジーもあの時代は一つの頂点ではなかったかと感じます。単純に考えれば今の方がテクノロジーは高度になってますが、かならずしもそれは進化とは言えない。高度なテクノロジーを駆使して人の心を破壊し、地球を破壊するような発電所を作ったところで進化したとは言えないのではないでしょうか。(浜崎航)
Take the A Train
1941年にレコーティングされ、デュークエリントン楽団のテーマソングともなったこの曲は、デュークエリントンの片腕であるビリーストレイホーンによって、1939年に作曲された。今や、世界中の人々に愛され、ジャズの代名詞ともいえる曲である。(片倉真由子)
Come Sunday
1943年、カーネギーホールにおいて初演、1958年にスタジオレコーディングされた組曲、Black, Brown and Beigeからの曲。デュークエリントンが、アフリカンアメリカンの歴史を表現したものがこの組曲である。アフリカからアメリカへ奴隷として連れてこられた黒人達は、いっさいの自由を奪われ、白人達の監視のもとに働いていた。彼らが解放される日曜日、黒人達は歌い、踊り、神へ祈った。おおらかなメロディーと「神様、どうか私たちを見守っていて下さい」という歌詞に、魂を強烈に揺さぶられる。(片倉真由子)
Jump for Joy
1941年に公開された、エリントンが手掛けたミュージカル、”Jump for Joy”からの一曲。このミュージカルは、出演者が黒人のみで構成された時事風刺劇であり、アメリカ社会に対するメッセージが込められたものだ。その名の通り、喜びに満ち溢れた楽しい曲だが、誰もが幸せでありたいという願いが込められているように感じる。(片倉真由子)
The Star-Crossed Lovers
デュークエリントン、ビリーストレイホーンが手がけた組曲、”Such Sweet Thunder”。12のパートから成るこの組曲は、ウィリアムシェイクスピアの戯曲を反映したものである。その中の一つ、”The Star-Crossed Lovers”は、戯曲「ロミオとジュリエット」をテーマとしたものであり、悲劇の道を辿らなければならなかった恋人達の運命を、美しくも儚い、聴く者の心を捉えて離さない叙情的なメロディーで描いている。(片倉真由子)
The Feeling of Jazz
1962年、デュークエリントンとジョンコルトレーンによるコラボレーションが実現した。タイトル通り、ジャズを感じること、汲み取ること、演奏することの喜びに満ちた一曲である。人は誰もが、ある何かから解き放たれて自由になる瞬間があるように感じるが、私たちはこの曲を演奏することによって、純粋に音楽を楽しみ、もっと自由になりたいと思うのだ。(片倉真由子)
The Single Petal of a Rose
“The Queen’s Suite”(女王組曲)は、エリントンがイギリスの女王、クイーンエリザベス二世のために書いた組曲である。1959年に、できあがった一枚のCDが、バッキンガム宮殿に届けられたという。デュークエリントンの曲は、どれをとってもメロディーが非常に美しく、踏ん張らないとこちらが曲に負けてしまいそうになる。この曲もまさにそうした一曲であり、ひとひらの薔薇が優雅に、しかしどこか儚く舞い落ちるような、そんな印象を受ける。いつも全身全霊を捧げて演奏する。(片倉真由子)
Design
北川正 (Kitagawa Design Office)