「 Poinciana / Grace Mahya(vo&p) 」
Grace Mahya(vo&p), 荻原 亮(g), 宮川 純(p), 安ヵ川大樹(b)
「この音楽が、あたたかさとともにあなたの心に届きますように。 Grace Mahy 」
DMCD-16 税抜2381円+税
試聴音源
1. Poinciana (Buddy Bernier/ Nat Simon)♪
2. Save The Last Dance For Me (Doc Pomus/ Mort Shuman)♪
3. Good Morning Heartache (Ervin Drake/ Dan Fisher/ Irene Higginbotham)♪
4. It Might As Well Be Spring (Oscar II Hammerstein/ Richard Rodgers)♪
5. But Beautiful (Johnny Burke/ Jimmy Van Heusen)♪
6. All or Nothing At All (Jack Lawrence/ Arthur Altman)♪
7. Save Your Love For Me (Buddy Johnson)♪
8. Polka Dots And Moonbeams (Johnny Burke/ JimmyVan Heusen)♪
9. Skylark (Johnny Mercer/ Hoagy Carmichael)♪
10. Lover Man (Jimmy Davis/ Roger Ramirez/ James Sherman)♪
11. A Case of You (Joni Mitchel)♪
購入サイト
ライナーノーツ
グレース・マーヤのニューアルバム「ポインシアナ」が3年半ぶりにリリースされると聞いて喜んだのは、彼女の大ファンである私だけではないはず。私の店DUGでもグレース・マーヤさんのファンの方々に近況を聞かれる事が多かっただけに待望久しくというところだ。
グレース・マーヤのライヴは南青山のBody&Soulや六本木のAlfieで毎月のように聴いているが、ライヴのたびに新しいレパートリーが増えているのが何より嬉しい。
新宿でのライヴが無いのが淋しいが、このところ一ヶ月置きに、池袋立教大学の近くApple Jumpでライヴをやっている。回を重ねるごとにお客様に知れて満員の盛況だ。こんな折、これ又新譜が出るのはグッド・タイミングだ。私はグレース・マーヤのファンの1人で評論家ではないので曲についての細かい解説等はほんの少し触れる事でご理解いただきたい。ここでグレース・マーヤとの出会いや彼女の素質について触れてみたい。2005年の秋、新宿の古いジャズフレンドで毎夜ライヴジャズとお酒を楽しんでいる河野さんがDUGに来られて「最近ピアノを弾いて歌もうまい女の子をみつけたのでぜひ中平さんに聴いてほしい」と言われたのがきっかけだ。半年位経った2006年の早春、代々木のナルでやっとグレース・マーヤのライヴを聴く事が出来た。その時は清水絵理子(p)、Q石川さん(ts)で、グレース・マーヤはいわゆる立歌だ。スタンダードや映画音楽を次々歌いあげ、英語の発音も完璧だったので、あまり期待していなかった事もあり正直びっくりした。あとで聞くと子供のころからインターナショナルスクールに通い、大学はドイツのフライブルグの国立音大にトップの成績で入学、大学院に籍を置く身だったらしい。グレース・マーヤはクラシックのピアニストで大学でも将来を嘱望されていた。そのころ私の店DUGでは週2回不定期でライヴをやっていたので早速出演を依頼した。そしてすぐにソニー・ミュージックの名プロデューサー伊藤八十八さんに連絡、ライヴを聴いていただきほぼ即決でレコーディングが決まった。伊藤さんは「これはセン・ミツだ」とおっしゃったのを覚えている。つまり、千人に3人位の見つけものですよ、と言う事らしい。その後、とんとん拍子に4枚のアルバムをヴィレッジミュージックからリリース、一躍日本のジャズヴォーカリスト界で注目を浴びた。さて前置きが長く、これではライナー・ノーツにならないよと安ヵ川さんにお叱りを受けそうなので少しアルバムに触れる事にしよう。タイトルの「ポインシアナ」はピアニストの鬼才アーマッド・ジャマールの演奏で知られているが、グレース・マーヤは最近好んで歌っている。名曲を心地よいテンポでスタートさせるこのアルバムは、あっという間に11曲を聴いてしまう。
1,2,3,4,6,9はピアニスト宮川純のアレンジ。5は荻原亮。そして8,10,11はグレース・マーヤ自身のアレンジだ。特に3,6,10は歴代のヴォーカル界の大物たちが歌っているが、グレース・マーヤの解釈で見事に唄い切っていて素質の深さを感じさせられる。英語の発音は何よりの武器で活躍の場を日本だけに留めておくのは惜しい。全体を通して宮川のアレンジはリスナーをとりこにしてしまう位素晴らしくまた共演者全員ツアーやライヴハウスで共演している仲、息はぴったりだ。
ラスト・ナンバー「ア・ケイス・オブ・ユー」はグレース・マーヤの唯一弾き語りだ。元々弾き語りは得意で素晴らしいので次のアルバムはぜひ弾き語りに期待しよう。
2011年10月記
Jazz Cafe Bar DUG 中平穂積
Design
北川正 (Kitagawa Design Office)