「 The Days Of Wine And Roses 」The Trio Bacchus
member
大坂昌彦 (dr) 吉岡秀晃 (p) パット・グリン (b)
DNCD-23 税抜2500円+税
試聴音源
1 . The Days Of Wine And Roses 6:11 PC♪ スマホ♪
2.Norwegian Wood 6:59 PC♪ スマホ♪
3.Milestone 6:08 PC♪ スマホ♪
4.Sophisticated Lady5:38 PC♪ スマホ♪
5.Blue In Green 4:49 PC♪ スマホ♪
6.Here’s That Rainy Day 6:55 PC♪ スマホ♪
7.Alfie 5:45 PC♪ スマホ♪
8.What Are You Doing The Rest Of Your Life 6:09 PC♪ スマホ♪
9.C Jam Blues 7:23 PC♪ スマホ♪
10.These Foolish Things 6:27 PC♪ スマホ♪
Total Time 62:44
Recorded on 25 November at Sound City Setagaya
Mixed by Masanori Hata Exective
Producer : Shigeru Suzuki
Art Direction & Design by Tadashi Kitagawa ( Kitagawa Design Office ) Very special thanks to All people who listen to this CD.
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ライナーノーツ
このレコーディングは僕が最近、ワイン・エキスパートの資格を取得した事に端を発する。ここ数年頼のプロデューサーである鈴木繁氏から吉岡秀晃さんとパット・グリンで、ワインを飲む時のお供になる様なアルバムを作ってみてはどうかと提案があったのだ。
ジャズとワインのマリアージュへの挑戦である。 華やかで豊潤な吉岡さんのピアノはまさに極上のヴィンテージワインを想起させるし、力強いパットのベースはさながらニューワールドのワインの様。僕としてもアサンプラージュのしがいがあるというものだ。ユニット名もワインの神であるバッカスから由来する。
ジャズの録音スタジオとしては都内随一の定評がある、サウンドシティ世田谷でのレコーディングはすこぶるスムーズに進み、日が暮れる頃にはラストテイクを終えることが出来た。
口開けの曲は勿論、この曲「The Days Of Wine And Roses 」。ヘンリー・マンシーニによる映画音楽であるが、ジャズのスタンダードとしての認識の方が高い曲である。 ビル・エバンスのバージョンでのFからA♭への転調を踏襲したが、オープニングとして雰囲気を与えるためにむしろ、重厚なアレンジを施してみた。
2曲目はビートルズナンバーのジャズ・アレンジで「Norwegian Wood 」。 このテイクではシュワシュワと泡立つ、まるでシャンパーニュの如きシンバルのシズルサウンドを楽しめるよう、通常のドラムスティックではなく、ロッドといわれる竹ひごを纏めたようなものを使ってみた。ビートルズのメンバーもどれほどのシャンパーニュを開けたのだろう。華やかな吉岡さんのピアノサウンドが炸裂している。
続く曲は「Milestone 」。 マイルス・デイヴィスによるこの曲の持つ疾走感は誰が演奏しても失われない。爽やかな白ワインが似合う、スピード感のある演奏が出来たと自負する。
4曲目は「Sophisticated Lady」、エリントンのナンバー。 歌詞に「明日の事も考えず酒を飲み」と出て来るのだが、パットの深淵なベースサウンドは、文豪デュマをして「跪いて飲むべし」と言わしめた白ワイン、Montrachetへの憧憬を誘う。明日を考えずに飲んでみたいものだ。
ビル・エバンスともマイルスともつかないといわれる「Blue In Green 」。 通常、バラードで演奏されるのだが、パットのアイディアによりモーダルなアップテンポにアレンジされた。 新世界の白ワインに感じられる、青いハーバルな香りを想像するのはややこじつけだろうか。しかし、ワインの香りの事を英語でnote という、音符の英語表記と同じなのは偶然にしては出来過ぎ?
続く「Here’s That Rainy Day 」は前曲のエンディングの韻を踏む形で始まる。 雨によるジメッとした、むせ返る様な森の木々や土の香りの雰囲気を踏まえたアレンジで、エンディングに向けて晴れ上がる解釈にしてみた。ブルゴーニュの赤やローヌの赤の様なワインには土の香りが感じられる物も多い。雨後の森の中にいる様な気持ちにさせてくれる。
イギリス映画のテーマソングとして知られる、バート・バカラックの曲「Alfie」。ジャズワルツのアレンジで料理してみた。 イギリス人はブルゴーニュワインをバーガンディ、ボルドーワインをクラレットと呼ぶ。それぞれ歴史的な理由があるのだが、とりわけボルドーワインはイギリスへ輸出される事で知られるようになったそうだ。
「What Are You Doing The Rest Of Your Life 」 なんとも重いタイトルである。パットのアルコによるメロディが、より一層の重みを湛える。 フルボディの赤ワインは少しずつ呑むのが良い。時間をじっくりかけてグラスの中の変化を楽しむ。香りも味わいも。それまでの人生、そしてこれからの人生を考えながら。
そんな屁理屈ばかり言っていると、ジャズもワインも楽しくない。吉岡さんのスウィングしまくりのピアノが楽しめるエリントンナンバー、「C Jam Blues 」。シンプルに深いスウィング感。
「These Foolish Things」 バーからの帰り道の千鳥足な雰囲気。吉岡さんパットの外連味溢れる演奏がより一層の心地よい酔いを感じさせてくれる。
今回、プロデューサーである鈴木氏を始め、吉岡秀晃さん、パット・グリン、そして発売にあたりお世話になった安ヵ川大樹くんに心より感謝を申し上げます。
Design
北川正 (Kitagawa Design Office)