プロフィール
ライナーノーツ
国鉄(今のJR)稲毛駅東口のビルの地下に小さな小さな、しかし濃密で深遠なジャズ、レコードの音が溢れてやまないJazz Spot『Candy』が誕生した。ちょうどジャズに傾倒していた16才だった私はこの場所に通い『Candy』によってかなり偏ったジャズの洗礼(笑)を受けることになる。翌年17才でライブデビューするのだが、そのトリオは山下洋輔トリオの模倣だった。そして20才の頃宮坂高史氏のボーヤ時代に井上淑彦さんと知り合い「ジャズとは?本物とは?」という深い森に連れ込まれていった。(この時期の私のバンドで池田篤君がライブデビューしたのだ。)その後様々な迷い道を歩みながら、途中15年の空白を挟み、2017年12月13日、57才最後の日に、私のファーストアルバム『M』が発売されることになりました。15年の空白期はほんとうにジャズも聴かずドラムに触れもせずに過ごしていたのだが、46才の時ある事故に遭い体の自由が効かなくなり、そのためのリハビリをしていた時期に偶然立ち寄った千葉大学祭のゲストで来ていた石田衛トリオを聴いて刺激され復帰する気になり、それから千葉大学ジャズ研の部室で数時間ドラムに向かう毎日。そして、少しづつジャムセッションに通い才能豊かな若手たちとの交流を得て、『Candy』でスガダイローとのデュオで本格復帰し、以後『Candy』や柏『Nardis』の小峯氏にも多大なる後押しをしていただきながら、レイモンドマクモーリン、石田衛、石井彰、佐藤浩一、西口明宏、吉本章絋、須川崇志、山本昌弘、山田貴子、小美濃悠太、トッドニコルソン、ジャンニジェビアなどと活動をしながら自己納得のゆくジャズを模索し続け、最近はハクエイキム、安ヵ川大樹と5年ほど前にやりはじめたマグネティカルトリオを主な活動としてきた。そこに昨年から旧知の池田篤が参加し『Candy』のママの命名によって『マグネティカルテット』が誕生する。コンセプトは「何も決めないのが決まり」だ。だからこの録音当日も何も決めないで始めた。このCDはその日の記録である。何も決めていないのに見事にジャズになっているなと私は思う。「その場作曲による即興」たどりついた境地がこれだ。これはこの日の記録でもあるが、私のジャズの記録でもあり、メンバーひとりひとりのジャズの記録でもある。録音日から半年が過ぎているが、マグネティカルテットはさらに進化してる。今はすぐに過去になり、未来はすぐに今になる。現在過去未来は一瞬にして入れ替わる。過去はもう手が届かないし、現在をつかんだままにはできないし、未来はつかんだ時点で現在になる、故に永遠に未来をつかむことはない。時間とはそういうものだ。記録のなかに現在の私たちはいない。だが、確実に私たちだったのだ。そんな過去の追体験をご一緒に。未来の同時体験はライブにてどうぞ!(文中敬称略
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Design北川 正 (Kitagawa Design Office) http://kitagawadesignoffice.blogspot.jp/
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